設定ガイド

GPUアンダーボルトのやり方【MSI Afterburnerで5ステップ】

公開日:2026-09-12 著者:組立テルノ

実機画面で手順を解説・2026年9月

結論:アンダーボルトは「点を持ち上げて、右側をそろえて、Apply」の3動作。難しいのは設定より確認

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

前の記事で「アンダーボルトで電力が3割減った」って見たんだけど、実際どうやるの? BIOSとかいじるんじゃないよね…?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

BIOSは触らない。MSI Afterburnerっていう無料ソフトのカーブエディタで、点を1つ上に動かして、右側をそろえて、Applyする。操作自体は1分で終わるよ。
選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

1分!? じゃあ何が大変なの?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

「設定したつもりで、実は反映されていない」を見抜くこと。うちで測定したときも3回それをやらかした。だから今日は手順5つと、失敗の見分け方をセットで説明するね。

この記事は「設定のやり方」専用です。電力制限との違いや、電圧ごとに性能と電力がどう変わったかの実測値は、RTX 5070 Tiの実測記事にまとめてあります。画面はすべて、その測定のときに実際に操作したものです。

アンダーボルトとは? 同じ仕事を、低い電圧でやらせること

GPUは「このクロックで動くには、この電圧が必要」という対応表を持っていて、それを線にしたものがV/Fカーブ(電圧と周波数のカーブ)です。メーカーはどの個体でも動くように、この電圧を安全側に多めに設定しています。

アンダーボルト(低電圧化)は、その余裕を削って「同じクロックを、標準より低い電圧で動かす」設定です。電力は電圧の2乗に比例して効くので、電圧を1割下げると電力は2割近く減ります。クロックは保つので性能はほとんど落ちず、電力と温度だけが下がる。これが人気の理由です。

似た設定に電力制限(Power Limit)がありますが、あちらは「使っていい電力の上限を決めて、超えそうならGPUが自分でクロックを落とす」仕組み。上限をどこまで下げられるかはカードごとに決まっていて、うちの5070 Tiは83%までしか下がりませんでした。電圧の設定にはその下限がないので、本気で絞りたい人はアンダーボルトに進むことになります。

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

メーカーが多めに盛った電圧を、自分のカードに合わせて削るってことか。壊れたりはしないの?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

下げる方向だから、熱も電流も減る側。危ないのは逆で、下げすぎると足りなくなって画面が乱れたり落ちたりする。だから「落ちたら戻す」を前提に、少しずつ探っていくのが基本だよ。

【準備】必要なもの3つ

MSI Afterburner

無料。GeForceならメーカーを問わず使えます。カーブエディタ(Ctrl+F)がこの記事の主役

HWMonitor か HWiNFO

無料の監視ソフト。「設定した電圧どおりに動いているか」を実電圧で確認するために必須

負荷をかけるもの

3DMark(Steel Nomad)やFF14ベンチ、普段遊ぶゲーム。安定確認は必ず同じ条件で繰り返す

始める前に、定格のまま1回ベンチを回して、スコア・GPU温度・電力をメモしておいてください。この基準がないと、設定後に「効いたのか」も「性能が落ちたのか」も判断できません。

【手順】5ステップ

  1. 1

    対象のGPUを選んで、いったんリセット

    MSI Afterburnerを起動し、画面下の「GPU Select」で設定したいGPUを選びます。2枚挿しの人はここが最初の関門で、違うGPUを選んだまま進めると設定が全部空振りします。次に「Reset」を押して、Power Limitやカーブが初期状態であることを確認してから始めます。

  2. 2

    Ctrl+Fでカーブエディタを開き、標準カーブを見る

    Afterburnerのメイン画面でCtrl+Fを押すと「Voltage/Frequency curve editor」が開きます。横軸が電圧(mV)、縦軸がクロック(MHz)で、右上がりの線が「この電圧ならこのクロックまで出す」というGPUの標準ルールです。まずはこの形を眺めて、自分のカードが定格ブースト時にどのあたり(例: 1000mV前後で2800MHz台)にいるかを把握します。

  3. 3

    目標の電圧の点を、目標クロックまで持ち上げる

    たとえば「925mVで2700MHz」を狙うなら、横軸925mVの上にある点をクリックし、縦に2700MHzまでドラッグします。これが「同じクロックを、標準より低い電圧で出させる」というアンダーボルトの本体です。最初は控えめに、標準カーブの点から100〜150MHz上げる程度で十分です。

  4. 4

    右側の点をまとめて選んで、同じ高さにそろえる

    持ち上げた点より右側(高い電圧側)の点を、Shiftキーを押しながらドラッグしてまとめて選択します。そのままShift+Enterを2回押すと、選んだ点が持ち上げた点と同じクロックに一直線でそろいます。これで「925mVより上の電圧は使わせない」状態になります。最後にメイン画面の「Apply」を押し、もう一度カーブエディタを開いて右端まで一直線かを確認してください。選択が一部漏れて右上がりの点が残っていると、GPUはその高い方の点を選びに行きます。

  5. 5

    負荷をかけて、実電圧と安定性を確認する

    3DMarkやFF14ベンチを3回、そのあとに普段のゲームを30分ほど回します。同時にHWMonitorやHWiNFOでGPU電圧の最大値を見て、設定した電圧とほぼ一致しているかを確認します。画面の乱れ、ゲームの強制終了、ドライバーの再起動が1回でも出たら、その設定は不合格。電圧を25mV戻すか、クロックを100MHz下げてやり直します。

ステップ1で使うのが、メイン画面の下にあるこのボタン列です。

MSI Afterburnerのメイン画面下部。GPU Select、Save、Reset、Applyのボタンと、選択中のGPU名RTX 5070 Ti
左下に選択中のGPU名(ここではRTX 5070 Ti)。2枚挿しなら「GPU Select」で必ず対象を選び、「Reset」で初期状態にしてから始めます。設定の反映は「Apply」。

ステップ3〜4がうまくいくと、カーブはこの形になります。875mVの点を2500MHzまで持ち上げ、右側をShift+Enterでそろえたので、875mVより右はすべて2500MHzで水平です。

MSI Afterburnerのカーブエディタ。875mVの点を2500MHzまで持ち上げ、右側を水平にした完成形
完成形。875mVで折れて、その右は一直線。薄く見える線が元の標準カーブで、標準では875mVは約2280MHzなので、220MHzぶん持ち上げた設定です。
選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

点を1個動かして、右側をShiftで選んでそろえる。それだけなんだね。
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

そう。ただ、慣れてくると「そろえたつもり」で失敗する。次の失敗例を見れば分かるけど、持ち上がっていない・そろっていない・前の設定が残っている、の3パターンがあるんだ。

【失敗例】設定したつもりで反映されていない3パターン

どれも、うちの測定中に実際に起きたものです。カーブエディタの見た目だけでは気づきにくいので、画像で覚えておいてください。

カーブエディタ。975mVから右は水平だが、折れ点が標準カーブ上のままで持ち上がっていない
失敗①「持ち上がっていない」。右側は水平になっていますが、975mVの点が標準カーブの高さ(約2680MHz)のまま。これだと「975mVより上を使わせない」だけの設定になり、クロックも標準より下がります。持ち上げの操作が確定する前にApplyしてしまうと、この形になります。
カーブエディタ。900mVから右がわずかに右上がりで、完全な水平になっていない
失敗②「わずかに右上がり」。900mVで2585MHz、右端で2620MHzと、少しだけ傾いています。Shiftでの選択が右端まで届いていなかった、単純な操作漏れです。この状態だとGPUは右側の高い電圧の点を選びに行くことがあり、実電圧が設定より上がります。Apply後にもう一度エディタを開いて、右端まで同じ高さかを確認してください。
カーブエディタ。875mVを設定したつもりが、直前の900mV/2600MHzの設定が残っている
失敗③「前の設定が残っている」。875mVに変えたつもりが、直前の900mV/2600MHzのまま。プロファイルの呼び出しやApplyの押し忘れで起きます。うちでは保存したプロファイルの中身が別物だったこともあり、以降は毎回Resetしてから手で設定する運用にしました。

見分け方は「負荷中の実電圧と実クロック」

3パターンとも、ベンチを回しながらHWMonitorのGPU電圧(最大値)とGraphics Clock(最大値)を見れば分かります。設定が925mV/2700MHzなのに実クロックが2400MHz台なら①、実電圧が設定より20mV以上高ければ②、数字が前回とまったく同じなら③を疑ってください。

HWMonitorのRTX 5070 Ti表示。GPU電圧の最大0.890V、GPU電力の最大210.51W
875mV設定で負荷をかけた後のHWMonitor。GPU電圧の最大は0.890V。設定値ぴったりにはならず15mVほど上を記録しましたが、この程度は正常です。975mV設定のときは最大1.000Vを記録したので、「設定値=実電圧」とは思わない方が安全です。

【目安】どの電圧から始めて、どこで止めるか

段階設定の例(5070 Ti)実測した変化向いている人
まず試す975mV/2805MHz性能−1.7%・電力−10.7%定格の性能をほぼ保ちたい
常用の本命900mV/2600MHz性能−4.5%・電力−23.7%静かさと温度を取りたい
省電力寄り875mV/2500MHz性能−8.8%・電力−32.1%電源の余裕・夏場の温度が気になる
やめどき落ちた・乱れた1つ手前―全員。ここが自分のカードの限界

数字はうちの個体(RTX 5070 Ti)でSteel Nomadを回した実測値で、同じ型番でも同じ結果になるとは限りません。使い方としては、上から順に試して、不安定になった1つ手前で止めるだけ。電圧は25mV刻み、クロックは100MHz刻みで動かすと探りやすいです。

なお、点を持ち上げずに「ある電圧から右を水平にするだけ」の設定(固定点方式)もあります。確実に電力は下がりますがクロックも下がるので、AI画像生成のように「多少遅くても電力を抑えたい」用途向けです。うちのSDXL生成の電力実験ではこちらを使いました。

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

「不安定になる1つ手前」って、どうやって不安定を判定するの? 落ちるまで待つの?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

ベンチ3回+普段のゲーム30分で、画面の乱れ・強制終了・ドライバーの再起動がゼロなら合格。1回でも出たら不合格で、その段階は使わない。判定を甘くすると、後日ゲームの一番いいところで落ちるよ。

FAQ

よくある質問

アンダーボルトで保証が切れたり、壊れたりしない?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q1

アンダーボルトで保証が切れたり、壊れたりしない?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

電圧を下げる方向の設定なので、発熱・電流ともに減る側です。物理的に壊す方向ではありません。保証については、メーカーによっては「オーバークロック用ソフトの使用」を保証対象外と書いている場合があるので、購入したカードの保証規定は一度確認してください。設定はAfterburnerのResetで元に戻せるので、カードに痕跡が残る類のものではありません。

設定はPCを再起動すると消える?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q2

設定はPCを再起動すると消える?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

Afterburnerの「Windows起動時に設定を適用」をオンにしない限り、再起動で初期状態に戻ります。安定確認が終わるまでは、あえてオフのままにしておくのがおすすめです。もし攻めすぎた設定が起動時に自動適用されると、Windowsに入った直後に落ちて設定を戻せなくなることがあるからです。安定を確認できてから、プロファイルに保存して起動時適用をオンにしてください。

どの電圧から始めればいい?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q3

どの電圧から始めればいい?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

うちのRTX 5070 Tiでは975/925/900/875mVの4段階すべてが安定しましたが、同じ型番でも個体差があるので、まずは975mVか950mVで「標準の点から100MHz程度持ち上げる」から始めるのが安全です。それで問題なければ25mVずつ下げていき、不安定になった1つ手前が、そのカードの常用点です。実測した性能と電力の変化は実測記事の早見表にまとめています。

ノートPCやRadeonでも同じ手順でできる?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q4

ノートPCやRadeonでも同じ手順でできる?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

ノートPCのGPUは、メーカー側でカーブの編集や電圧の変更がロックされていることが多く、Afterburnerで項目が灰色になっている場合は変更できません。RadeonはAMDのドライバー(Adrenalin)に電圧調整の項目がありますが、うちでは実機を持っていないため、この記事の手順で確認できているのはGeForceだけです。

画面はすべて筆者のサブ機(Core i7-14700K/RTX 5070 Ti)でMSI Afterburner 4.6.6を操作したときのものです。電圧の変更は自己責任で行い、購入したカードの保証規定も確認してください。設定値は個体差があるため、この記事の数値をそのまま適用せず、必ず自分のカードで安定確認をしてください。運営方針は運営者情報をご覧ください。