実測レポート
グラボの電力制限で消費電力45%減・効率33%改善【SDXL生成で実測】
公開日:2026-08-12 著者:組立テルノ
GPU電力の実測・2026年8月
結論:電力は45%減らせた。ただし下げるほど効率が良くなるわけではない

選部マヨ子

組立テルノ

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ローカルLLMやSDXLで画像を生成するとき、RTX 4070 TiとRTX 5070 Tiの2枚を同時に動かしています。速いのはいいのですが、コンセント側で測るとPC全体の瞬間最大が805Wに達していました。家には別のPCもあるため、この状態を常用するのは避けたいところです。
そこで、生成時間を揃えることは目的にせず、消費電力をできるだけ下げながら、電力量の効率が急に悪くなる境目を探しました。1秒ごとに電力を記録し、平均電力・生成時間・1枚あたりの電力量(Wh/枚)で比べています。
効率を重視するなら
4070 Ti を50%/5070 Ti を850mV
無制限に比べて平均電力45.1%減、1枚あたりの電力量33.3%改善。かかる時間は21.6%増で済みます。
同時に流れる電力を抑えるなら
4070 Ti を35%/5070 Ti を850mV
平均電力は60.7%減まで落ちます。ただし時間は81.5%増え、1枚あたりの電力量は上の設定より6.8%悪くなります。

これはメイン機ではなく、もう1台のPCです。メイン機の構成は運営者情報に載せています。
まず、どれだけ電気を食っているのかを見た

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最初にコンセント側のワットメーターで、PC全体の電力を見ました。アイドル時は約130Wです。片方のGPUだけを動かすと450〜500W、2枚同時では805Wまで上がります。
ただしこれは表示を目で追って、いちばん高かった数字を書き留めただけです。記録して平均を出したわけではないので、生成中ずっとこの値だったという意味ではありません。実際にならせば、もっと低くなります。
4070 Tiのパワーリミットを下げていくと、PC全体の最大は素直に下がりました。50%まで絞ると644Wです。
この図はコンセント側で目視した最大値です。CPU・メモリ・ファン・電源の変換ロスまで含んだPC全体の値なので、以降に出てくるGPU基板電力とは別物です。足し合わせて比べないでください。

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ここが今回の出発点
測り方と、測定用に作ったツール
| GPU(上段) | INNO3D GeForce RTX 5070 Ti X3 OC WHITE |
|---|---|
| GPU(下段) | PNY GeForce RTX 4070 Ti |
| 電源 | Super Flower LEADEX VII PLATINUM PRO 1200W |
| WebUI | Forge を2つ起動し、GPUごとに別ポートで生成 |
| 調整に使ったソフト | MSI Afterburner(Power LimitとV/Fカーブ) |
| 生成枚数 | 各条件でGPUごとに10枚 |
| アイドル時のPC全体 | コンセント側で約130W |
市販のソフトでは「両方のGPUが生成を始めてから、両方が終わるまで」を自動で切り出せなかったので、専用のツールを作りました。MSI Afterburnerで設定を適用してから測定開始を押し、あとは普段どおり2つのWebUIで生成するだけです。
ツールでAfterburnerの設定をするわけではなく、条件記録用として入力欄を設けています。現在のパワーリミットが入力した条件と合っているかを確認するだけで、あとは1秒ごとに電力・温度・使用率・クロック・VRAM使用量を記録します。

1枚あたりの電力量は、1秒ごとのサンプルを台形で積み上げてWhを求め、それを生成枚数で割っています。各条件で10枚ずつ生成しました。
生成条件を細かく書いていない理由
モデル・解像度・ステップ数などは、測定中いっさい変えていません。ただし記事には書きません。生成時間の絶対値には意味がないと考えているからです。私の設定で9分かかった処理が、あなたの環境で何分かかるかは分かりませんし、比べても得るものがありません。
知りたいのは「設定を変えたら、どう変化したか」という相対的な差です。今回はSDXLにhires fixを含めた、実際に普段使っている条件で測っています。

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RTX 4070 Ti:効率の底は50%あたりだった
4070 TiはV/Fカーブに触らず、パワーリミットだけを100%から下限の35.09%まで動かしました。相手側の5070 Tiは83.33%・標準カーブに固定しています。
| Power Limit | 平均W | 最大W | 10枚の時間 | Wh/枚 | 最高温度 | 平均クロック |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100% | 249.9 | 274.8 | 7:58 | 3.3177 | 76℃ | 2782 MHz |
| 85% | 223.7 | 242.9 | 8:11 | 3.0503 | 76℃ | 2716 MHz |
| 70% | 189.3 | 202.8 | 8:27 | 2.6664 | 74℃ | 2596 MHz |
| 55% | 149.3 | 158.0 | 9:09 | 2.2786 | 66℃ | 2342 MHz |
| 50%効率が最良 | 136.7 | 144.3 | 9:49 | 2.2380 | 62℃ | 2177 MHz |
| 45% | 123.8 | 129.4 | 11:00 | 2.2703 | 59℃ | 1906 MHz |
| 40% | 111.1 | 114.5 | 12:23 | 2.2946 | 56℃ | 1628 MHz |
| 35.09% | 97.8 | 103.7 | 14:30 | 2.3627 | 52℃ | 1395 MHz |
平均電力はパワーリミットに素直について下がりました。100%で249.95W、下限の35.09%では97.80Wです。61%減ですから、絞る効果そのものははっきり出ています。
一方で、1枚あたりの電力量は50%の2.2380 Whが最小でした。ここを下回ると、値は下がるどころか上がっていきます。35.09%では2.3627 Whで、50%より5.6%悪い数字です。

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温度も大きく変わりました。100%では76℃だったのが、50%で62℃、35.09%では52℃です。ファンの音も静かになるので、常時動かしておく用途では効いてきます。

つまり電気を最も無駄なく画像に変えたいなら50%付近、同時に流れる電力を最優先で抑えたいなら35%、という使い分けになります。
RTX 5070 Tiは、パワーリミットだけでは絞れなかった

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5070 Tiは、この個体のVBIOSではパワーリミットの下限が250W、割合にして83.33%でした。4070 Tiが100W・35.09%まで下がったのとは対照的です。スライダーがそこで止まってしまいます。


そこで5070 Tiだけは、カーブエディターを使いました。狙った電圧のところで周波数を決め、それより右側を水平にするやり方です。こうすると、GPUはそれ以上の電圧を使わなくなります。
コアクロックを一括でマイナスする方法もありますが、カーブ全体が同じだけ下がるだけなので、上限の電圧を決める用途には使いませんでした。4070 Tiのほうはパワーリミットだけで広い範囲を測れたので、比較を単純にするため標準カーブのままにしています。
RTX 5070 Ti:850mV/2175MHzまで下げられた
4070 Tiを70%に固定し、1000mVから850mVまで25mVずつ下げていきました。
| 設定した電圧 | 目標クロック | 平均W | 10枚の時間 | Wh/枚 | 最高温度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準 | 基準カーブ | 240.1 | 7:26 | 2.9716 | 75℃ |
| 1000mV | 2805 MHz | 232.1 | 7:34 | 2.9238 | 73℃ |
| 975mV | 2655 MHz | 222.0 | 7:46 | 2.8712 | 72℃ |
| 950mV | 2587 MHz | 198.8 | 7:56 | 2.6274 | 69℃ |
| 925mV | 2490 MHz | 183.5 | 8:09 | 2.4915 | 67℃ |
| 900mV | 2392 MHz | 169.2 | 8:27 | 2.3826 | 65℃ |
| 875mV | 2287 MHz | 151.5 | 8:48 | 2.2225 | 62℃ |
| 850mV | 2175 MHz | 138.8 | 9:13 | 2.1335 | 60℃ |
| 825mV | 1785 MHz | 180.0 | 10:36 | 3.1811 | 67℃ |
最下段の825mVは、設定が効かなかった失敗記録です。何が起きたかは次の節に書きました。
850mV/2175MHzでは、標準カーブに対して平均電力が42.2%低下、1枚あたりの電力量が28.2%改善しました。時間の増加は24.2%です。負荷中に実際の電圧を確認したところ0.845Vでした。
4070 Tiと違って、この範囲では効率が悪化に転じる点が現れませんでした。下限の850mVがそのまま最良です。

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825mVは失敗した。設定した値を信じてはいけない
825mV/1785MHzでカーブを水平にしたところ、適用後にカーブの形が変わってしまいました。825mVから1025mVあたりまでは水平になっているのに、そこから右は再び上がっています。

結果、GPUは高いほうの電圧を選びました。HWiNFOで確認した実電圧は1.065Vです。クロックは低いのに電圧は高いという最悪の組み合わせで、平均電力も1枚あたりの電力量も悪化しました。
失敗記録として原データには残し、効率の比較線からは外しています。カーブエディターで入力した値ではなく、適用後のカーブの形と、負荷がかかっている最中の実電圧を確認する。これが今回いちばんの教訓でした。

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失敗から学んだこと
代表3構成をまとめて比べる
ここまでで見えた設定を組み合わせ、2枚同時に20枚生成したときの数字です。
| 構成 | GPU合計 平均W | 1秒最大W | Wh/枚 | 全測定時間 |
|---|---|---|---|---|
| 無制限4070 Ti 100% / 5070 Ti 100% | 489.5 | 558.7 | 3.2754 | 8:02 |
| 効率重視4070 Ti 50% / 5070 Ti 850mV | 268.5-45.1% | 298.0-46.7% | 2.1856-33.3% | 9:46+21.6% |
| 低電力重視4070 Ti 35.09% / 5070 Ti 850mV | 192.3-60.7% | 253.6-54.6% | 2.3345-28.7% | 14:34+81.5% |
効率重視の構成は、無制限に比べて平均電力45.1%減、1秒サンプルの最大46.7%減、1枚あたりの電力量33.3%改善。それでいて時間の増加は21.6%に収まりました。ここが今回いちばんの収穫です。
低電力重視の構成は平均電力60.7%減まで落ちますが、時間は81.5%増えます。1枚あたりの電力量は効率重視より6.8%悪い代わりに、同時に消費する電力を28.4%下げられます。ほかの電力を使う機器などと同時に使いたい場面では、こちらに意味があります。

組立テルノ
表を読むときの注意
測ってみて分かったこと
- 01
最大Wだけ見ても、効率は分からない
クロックを下げても1秒サンプルの最大電力があまり変わらない場合があります。平均Wと1枚あたりのWhを併せて見る必要があります。
- 02
下げれば下げるほど良い、にはならない
4070 Tiは50%を下回ると、処理時間が延びる影響のほうが勝ち始めました。効率には底があります。
- 03
パワーリミットの下限はカードごとに全然違う
4070 Tiは35.09%まで下がったのに、5070 Tiは83.33%で止まりました。VBIOSの設定次第なので、同じ手順が使えるとは限りません。
- 04
V/Fカーブは、適用後にもう一度確認する
保存したはずの形が変わっていることがあります。特に低い電圧では意図した水平化が維持されませんでした。負荷中の実電圧まで見てください。
- 05
最大Wと効率は、そもそも目的が違う指標
最大Wは電源容量やブレーカーを考えるときの安全側の目安、Wh/枚は電気代の指標です。今回は同時消費電力も下げたかったので、最小のWh/枚だけで設定を決めませんでした。
今の設定と、この記事の限界
いまはこの設定で運用しています。
- 普段使い:4070 Ti 50% / 5070 Ti 83.33%+850mV・2175MHz
- 電力をさらに抑えたいとき:4070 Ti 35.09% / 5070 Ti 83.33%+850mV・2175MHz
- 825mVは使いません
ただし850mVについては、長時間の連続生成、複数回の測定、別のモデルや解像度での安定性確認がまだ足りていません。ドライバーの更新、室温、個体差でも結果は変わります。
この数値は他のカードにそのまま当てはめる正解ではありません。探し方の実例として読んでください。
データの注意点
- ・各条件の測定は基本1回で、ばらつきは評価していません
- ・GPU電力は nvidia-smi の基板電力です。PC全体の電力とは別物です
- ・1秒間隔の記録なので、1秒より短いピークは取り逃している可能性があります
- ・コンセント側の数値は目視で読んだ最大値です。連続記録ではないため、平均は出せていません
- ・V/F表のmVとMHzは設定した目標値です。実電圧はCSVに保存していません
- ・825mVは実電圧1.065Vを目視で確認した無効試験です
- ・生成された画像の品質は、今回の比較対象に含めていません

選部マヨ子

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FAQ
よくある質問
パワーリミットを下げると、グラボは壊れやすくなりませんか?

選部マヨ子
Q1

組立テルノ
ゲームでも同じように電力を下げていいの?

選部マヨ子
Q2

組立テルノ
この記事の設定を、自分のグラボにそのまま入れれば大丈夫?

選部マヨ子
Q3

組立テルノ
電源ユニットの容量は、電力制限をかける前提で小さくしていい?

選部マヨ子
Q4

組立テルノ
1枚あたりのWhが分かると、何がうれしいの?

選部マヨ子
Q5

組立テルノ
今回測定に使ったグラフィックボード

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測定に使用・所有しています
INNO3D GeForce RTX 5070 Ti X3 OC WHITE
型番:N507T3-16D7X-176068W / VRAM 16GB / 2スロット厚 / 3連ファン




この記事の測定は、このカードで行いました。選んだ理由は2つで、ひとつは白いケースで組みたかったこと。もうひとつがジャスト2スロットで薄いことです。最近のRTX 5070 Tiは3スロットを超えるものが多いので、2枚挿しをするならここが効いてきます。
使ってみて一番気になったのは、パワーリミットが83.33%より下に下がらないことです。この記事のとおり、電力を絞りたい人はV/Fカーブを触る前提になります。手軽にスライダーだけで省電力にしたい人には、ここが引っかかると思います。
冷え方は、2スロットの薄さを考えれば十分でした。標準カーブで平均240W・最高75℃です。850mVまで絞れば60℃まで下がります。
価格は毎日確認していますが、このモデルは取り扱いが見つからない日があり、そのときは購入リンクを表示していません。在庫と価格は各ショップでご確認ください。

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買うときに思うこと
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この記事の測定はすべて筆者の環境によるものです。パワーリミットやV/Fカーブの変更は各自の判断で行ってください。設定の変更によって生じた不具合について、ジサラボは責任を負いません。運営方針は運営者情報に記載しています。
