安全ガイド
ASRock TC-1300T レビュー|グラボが溶ける前に電源が止まる
公開日:2026-08-21 著者:組立テルノ
焼損対策シリーズ 第2回・所有機材で解説
結論:コネクタが溶ける前に、電源が自分で電気を止める。それがASRockの対策

選部マヨ子

組立テルノ

選部マヨ子

組立テルノ
この記事は焼損問題の経緯と予防の記事の続きです。前回の「ユーザーにできること」の先にある、メーカー側の対策の第1弾として、実際に所有・常時稼働させているASRock電源を取り上げます。

【対策①】緑の先端——「半挿し」を目で見えるようにする
1つ目の対策はローテクですが効きます。付属の12V-2x6ケーブルはコネクタの先端がASRockグリーンに色分けされていて、正しく奥まで挿さっていれば緑はほぼ隠れます。逆に、緑が見えていたら挿し込み不足——組み込み後の目視確認が一瞬で終わります。
焼損の古典的な主因である「半挿し」への対策としては、これで十分実用的です。MSIの黄色先端と同じ発想で、各社に広がりつつある工夫です。
【対策②】TempGuard——コネクタの温度を測り、電源が出力を遮断する
2つ目が本命です。付属ケーブルのGPU側コネクタに温度センサー(NTCサーミスタ)が内蔵されていて、電源本体の保護回路と連携します。コネクタ部が異常な高温に達すると、電源そのものが出力を遮断し、システムを強制停止します(動作を確認した海外レビューあり。遮断閾値はレビュー報道ベースで100℃強とされています)。
前回見たとおり、焼損は「接触抵抗の偏り→発熱→劣化→さらに発熱」という悪循環です。TempGuardはこの連鎖の「発熱」の段階で物理的に電気を断ち切る設計で、警告を出すだけの監視ツールと違い、深夜の無人稼働中でも機能します。
極端な実証もあります。海外では、改造で1350Wを引き出したRTX 5090をこのサーマルカットオフが保護したという報道がありました。定格を大きく超えた異常事態でも遮断が働いた、という点で心強い実績です。
動作の流れを順番に書くとこうなります。
- 1. 監視:GPU側コネクタ内のNTCサーミスタが温度を常時測定(通電中はずっと)
- 2. 伝達:温度情報はケーブル経由で電源本体の保護回路へ届く
- 3. 遮断:閾値を超えると電源が出力を停止。PCは強制シャットダウン
- 4. 復帰:冷えて原因を取り除いた後、電源を入れ直せば再起動できる(コネクタに損傷があればケーブル交換が先)
「電源側で守る」のが理にかなっている理由も押さえておきましょう。電源はPC全体の電気の元栓です。グラボのソフトやドライバーがフリーズしていても、OSが固まっていても、元栓は独立して閉められる。ソフトのインストールも設定も不要で、「使う人が何もしなくても機能する」——安全装置として一番大事な性質を、構造的に持っているわけです。

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【整理】TC-1300Tの焼損対策と基本仕様
| 焼損対策1 | 緑先端の12V-2x6ケーブル(挿し込み不足の目視確認) |
| 焼損対策2 | TempGuard:コネクタ内NTC温度センサー+電源側の出力遮断 |
| コネクタ | ネイティブ12V-2x6 ×2系統(各600W)——2枚挿しにも対応 |
| 容量・効率 | 1300W / 80PLUS・Cybenetics Titanium |
| 規格 | ATX 3.1 / PCIe 5.1 / フルモジュラー |
| 保証 | 10年 |
| 補足 | NTC入りL字単品ケーブルも別売あり(対応は自社750W以上の電源) |
出典: ASRock公式製品ページおよび各種レビュー。
私の使い方では、ネイティブ12V-2x6が2系統ある点も効いています。メイン機はRTX 5080+RTX 4080 SUPERの2枚挿しなので、変換ケーブルなしで2枚とも直結できる。前回の「やってはいけないこと」で挙げた変換・混用のリスクを構成ごと消せるわけです。

メイン機で常時稼働中
ASRock Taichi TC-1300T
1300W / Titanium / TempGuard搭載
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【限界】この方式にできないことも、正直に
持ち上げるだけでは公平ではないので、TempGuard方式の限界も書いておきます。
① 温度方式は「発熱してから」しか反応できない。電流の偏りそのものは見ていないため、偏りが発熱として表面化するまでは検知できません。海外では温度センサー付きケーブルでも溶融に至った事例の検証報道があり、センサーの位置と熱の発生点がズレると検知が遅れる可能性は残ります。「万能の保険ではなく、最後の防波堤」と捉えるのが正確です。
② 対応は自社電源のみ。この仕組みはケーブルと電源本体の連携で成立しているので、手持ちの他社電源に後付けはできません。
③ 遮断=強制シャットダウン。保存前の作業データは失われます。もっとも、これは機材の全損や火災と引き換えの安い代償です。
そして大前提として、正しい取り付け(完全に挿す・根元35mmを曲げない)の代わりにはなりません。基本ができた上での保険です。
【位置づけ】各社の対策の中で、ASRock方式はどこが違うか
メーカー対策には大きく3つの流派があります。ASRockは3つ目の、いちばん問答無用な流派です。
| 流派 | 代表例 | 性格 |
|---|---|---|
| 見せる(監視・警告) | ASUS(ピン別電流監視) | 情報量が多い。判断と対処は人間 |
| 信号で止める | CORSAIR(センサー内蔵ケーブル) | ケーブル単体で完結。GPUの保護機能を借りて止める |
| 電源が物理的に切る | ASRock(TempGuard) | 問答無用の元栓遮断。無人でも機能する |
それぞれに利点と限界があり、どれが正解かは使い方によります。続くシリーズでASUS・CORSAIR・MSIの対策を1社ずつ見たあと、横並びの比較編でこの整理に決着をつける予定です。

組立テルノ
テルノからひとこと
安全ガイド・第1回
グラボの電源コネクタはなぜ溶けるのか【経緯・原因・やってはいけない5つ】
FAQ
よくある質問
TempGuardが作動すると、PCはどうなるのですか?

選部マヨ子
Q1

組立テルノ
この保護機能を使うために、何か設定は必要ですか?

選部マヨ子
Q2

組立テルノ
センサー付きケーブルだけ買って、他社の電源で使えますか?

選部マヨ子
Q3

組立テルノ
保護機能のためだけに、この価格の電源を買う価値はありますか?

選部マヨ子
Q4

組立テルノ
